EXILE 小林直己さんが撮影現場で「命の危険」を感じた瞬間とは?
「たたら侍」公開記念特別インタビュー 2
CGはほぼゼロ、アナログで撮影された「たたら侍」
――とにかく「本物」をつくることにこだわった映画だそうですね。
小林 時代劇ということで錦織監督は「EXILEのファンである若い世代に伝わるのか」と心配しておられたそうです。その問いに対して、HIROが「しっかり本物を作れば、見た人は必ず何かを感じてくれるはず」と言って後押しをしたんです。本物といえば、たとえば今作の撮影ではすべてフィルムを使っていて、CGはほとんど使用していないと伺いました。
――現在の映画撮影はデジタル主流ですし、それに時代劇でCGを使わないのは珍しいですね。
小林 そうですね。もちろんデジタル機器やCGで描かれた作品にも素晴らしいものはありますが、やはり「本物」を作りたいという製作者の方たちの思いが結集した成果だと思います。若いスタッフの方たちはフィルムでの撮影の経験がなかったそうで、最初は戸惑っていましたが、アナログでの撮影にも徐々に馴れていきました。そうした伝統技術が後進へと引き継がれるという意味でも、いい機会を生んだ作品だと思います。
――本来ならカメラが入ることも許されない出雲の「たたら場」で、撮影が行なわれたそうですね。
小林 はい。やはり、「たたら場」でのシーンは特に注目していただきたいですね。「たたら場」のたたら吹きは一子相伝の技術ですから、カメラが入って撮影できる機会はまず無いそうです。僕も実際に「たたら吹き」の現場を見せていただきましたが、すごかったです。刀を造る材料になる「玉鋼」(たまはがね)をつくるために、800度の炉で砂鉄を熱するのですが、三昼夜も不眠不休で吹き続けるんです。炉の中も見えませんから、職人たちの感覚だけが頼りです。村下(むらげ)と呼ばれる、たたら場の頭領はもの凄い熱によって、顔はもちろん網膜まで「やけど」をしているのですが、それでも黙々と作業をしていました。その姿に、ただ感動しました。熱の中から刀の原料を育む、その仕事を見ていると、お母さんの胎内の活動を目の前にしているような気持ちになりました。
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